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lomomaria's photograph

東京家出×写ルンです16

写ルンです COLORS

 

日比谷公園から同じ道を戻り、また東京国際フォーラムに戻ってきてしまった。

この建物を中から眺めていたかったからだ。

というのは、言い訳だ。

公園をうろつくだけでも消耗して、もう新しい場所へ行く気力がなかった。

 

ロビーの、革張りの座り心地のいい椅子で休む。

壁も、天井も、エスカレーターもカッコいいデザインで見ていて飽きない。

計算された構築物の気持ちよさを楽しむ。

広い空間ならではの解放感と屋根がある安心感があった。

 

左横で、営業マンらしき男性がずっと電話で話している。

ひたすらずっと話している。

いつまで続くんだろう。

その人にとってはもちろん相手はいるんだけど、

耳障りなひとりごとが永遠に続くような気がした。

 

建物の中を眺めているうちに、その声は聞こえなくなり、いつの間にか男性はいなくなっていた。

次に、スーツに身を包んだ若い人たちが集まっているのが目についた。

案内板に何かの二次試験と書いてあったから、たぶんそれだろう。

「緊張するー!!!」とスーツがまだ似合わない女の子が口にしていた。

その集団を見ていて、自分の大学生時代を思い出した。

 

あの頃、常にひとりぼっちだったな。

その時すでにもう生き方がそうなっていたんだから、そればかりは仕方ないな。

それを経ての今の自分だから、もうどうしようもない。

 

一人って、他の人から見たらさみしいことなのかな?

さみしい、と思うなら、それはその人の主観であって、

私は別にさみしくないし、さみしくないように生きているならそれでいいんじゃないかな。

他人と比べても、もはやどうしようもないところまでやってきてるんだよ自分は。

 

座って体を休めている間、ぼんやりしてたけど、

ぼんやりしてたなりに考えていたのかもしれない。

 

いつも以上に何も考えていない時間も長かったけど…

考えるのにも疲れてしまってたのかもしれない。

とはいえ、この間、たった1時間ばかりの話である。

 

場所を変えても、自分の中ではひたすら同じこと、同じ時間の繰り返し。

 

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