東京家出×写ルンです10
日比谷公園の小さな入口に到着した。
先に進む前に看板の写真を撮る。もう、ただの記念写真だ。
緑に囲まれて、少しホッとする。
小さな池の周りには11月だというのに、地面に色とりどりの花が咲いていた。
小さな池に似合う小さな花ばかりで決して見た目の派手さはなかった。
だけど、曇り空の中で見るその花たちの色はとても鮮やかに見えた。
灰色に沈んでいた気持ちが明るくなる。
ここでも写真を撮ろうと思った、だけど何故かシャッターを切る気にはなれなかった。
目で見た以上にはその色が残らないような気がしたから。
しかしここも初めて来る場所で、どのくらいの広さか全く分かっていない。
この公園のどこに行ったらいいんだろう。
しばらく進むと、野外ステージから子供向けの音楽が聞こえてきた。
何かのイベントをやっているようで白いテントがずらりと並ぶ。
着ぐるみも見える。大勢の人が集まっている。
歩く人たちに案内を渡す人に、ためらいつつ近づいて、案内を受け取る。
どうやら農業系のイベントらしい。案内図を見ると、ブースの数がかなりある。
大規模なイベントのようだ。
気は乗らないけど、時間はいくらでもある。
ここまで来たのだから見てみよう。
無関心なただの気晴らしが始まった。
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