東京家出×写ルンです19
歩いているうちに「もういいだろう、十分だろう」と冷静な気持ちが戻ってきた。
半日だけでこんなにしんどいなんて。
それに、こんな行き当たりばったりの無計画な家出は無謀すぎたし、やっぱりバカバカしい。
知らない場所での自分には、こんなにも行動力がないことを思い知った。
とりあえず、今夜の夜行バスで名古屋までは戻ろう。
その先のことは考えたくなかったけど、私がいなくなったのを思い知らせるのは1日あれば十分だろう。
何も言わずに、携帯も見えるところに置いて家を出てきたのだから、
ただ事じゃないことぐらい、家族にも伝わるだろう。
伝わらなかったとしたら、気分転換にちょっと出かけてただけだ、とでも言えばいい。
夜行バスのチケット売り場へ向かう。
来たバスと同じ名前の、5000円で買えるチケットを買った。
自動販売機で切符を買うのは初めてだったけど、空いてる席も確認できて好きなところを選べるし便利だ。
安いバスは2人掛けのシートで、隣がいるとやや窮屈だし、見知らぬ他人と一夜をともにするのが微妙な気持ちになる。
特に、女性専用でない場合は…(笑)。
いつも選ぶのは姿勢がつらくなったとき足の自由がきく通路側だ。
選んだ席は今のところ隣はいない。
帰りたくないという気持ちと揺れながらも、切符を手に入れた途端、妙な安心感が…
やっぱり帰りたいんだろうか?
lomomaria-m a r i @ l i t e .