東京家出×写ルンです15
十分休むことはできたので、この公園を離れることにした。
せっかくなので、来た時に気になったいくつかの場所を写ルンですで切り取る。
最初に見た池も、戻り際に撮る。
人通りが多く、先ほどの老人との会話で他人に対して自意識過剰になっていて、
撮影するにも、そわそわしてしまう。
他人の目が怖い。
その場所では、外国人が写真を撮っていた。
他に撮影をする人がいたから、余計に落ち着かない。
色とりどりの花を初めて見てハッとした気持ちや感動はすっかりしぼんでいた。
空は先ほどよりさらに薄暗いせいもあるし、疲れも出ていた。
写ルンですのファインダーを覗いて、
大したアングルでもないな、と思いつつ、シャッターを押した。
写真は、響いた時に撮らなくては、意味がない。
花の色は心に刻んでおけばいい。
もし、その色が写真には写らなかったとしても、忘れなければいい。
思い出の場所ができた。
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