東京家出×写ルンです04
この先、どこに行こうか悩みつつもとりあえず今歩いている道に沿って進む。
東京に知り合いがいないわけでもない。
だけど、誰でもない自分になりたい今の私が、自分を知る人間になど会いたいわけもない。
それに、こんな馬鹿げたことをしてるなんて言ったら、誰も相手をするわけがない。
そこまで事情を話せるほどの親しい知り合いはいない。
そもそも携帯を持っていないのだから、連絡先すらわからない。
自分の携帯はiPhoneだから位置情報を調べられたら、居所が分かってしまう。
だから、携帯は置いてきたのだ。
すっかりネガティブだ。
いや、もともとネガティブな気持ちで始めた家出だ。
東京へ来る前は、新宿あたりに紛れようかと考えていた。
理由は人が多そうだから、という単純なものだ。
なのに、昨日の夜からだけでも時間を持て余し過ぎたのと、たどり着いた都会の大きさに既に気持ちが負けて思考は停止していた。
紛れるって言ったって、いったいこれから何をして過ごすつもりなのか。
こんなに心が折れている状態で、何を考えたらいいのか。
言い知れない恐怖感がわいてくる。
はとバスの乗り場が見える。待合所には少しずつ人が集まっていた。
こんなバスに乗ったら完全に観光旅行じゃないか。
料金表を見て、安いものでないこともわかった。
少なくとも今の自分には必要がないものだ。
考えるのもめんどくさい。
このまま道なりに歩いていくことにした。
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