東京家出×写ルンです02
自分が誰かである必要がない場所に行きたかった。
自分が誰であるか考えたくなかった。
とにかく、人が多くいる場所へ行けば、こんな私が一人くらい紛れてもいいだろう、と選んだのが東京だった。
本当に何も考えていなかった。考えられなかった。
ふらりと寄ったビックカメラでは、思わず写真の本を読んでしまい、カメラが恋しくて仕方なかった。
しかし、今回は荷物もほとんど持たず、カメラも持ってはいないのだ。
バスは、一番後ろの席だった。
揺れが気になりつつも快適な旅だ。…旅?
とにかく、家じゃないどこかへ行ってしまいたいと思って飛び出したけど、ただの旅なの?
みんなに急に私がいなくなったことを思い知らせてやりたいんじゃないの?
そして、できればもう帰りたくない…どこにも帰りたくない。
先のことは考えないことにした。
翌朝東京駅に到着。まだ薄暗い5:30頃。
前の人が歩いていくのにとりあえずついていく。
こんな気持ちで出てきたせいだろうけれども、不審者に見えないように淡々と歩く。
とはいえ、早朝から行く場所なんてない。
山手線に乗って寝ながら1周しようかとも考えたけど、今回は手持ちが少なくできればお金は使いたくない。
ホットコーヒーとグリドルを頼み、8:00過ぎまでここで粘った。
次に、東京駅周辺を見て回ることにした。
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